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2017/09/23 20:15

前半・後半の全2回でお送りする、アーティスト主催のインディペンデント・レーベル対談。誰もが自由に音楽を発信でき、誰もがレーベルを名乗れる時代。だからこそ「そこで何を発信するか」で本当の意味で面白くなっていきます。自分でレーベル運営を始めるまでの心の動きや、大きなマーケットとは違うその楽しさとは? kwaz labelを発足させた東京在住の女性シンガー・ミムラス内藤彰子と、BINGO LAB主催/広島在住のドラマー/シンガー・溝渕ケンイチロウ氏の、腹を割ったトーク。我が道を行く2人が、その「道中」を話します。

<ミムラス内藤彰子プロフィール> <溝渕ケンイチロウ プロフィール>




ミムラス内藤彰子(以下ミム): 今回、私は ”kwaz label(クウォズレーベル)”というレーベルを設立して、自分の基地を持つことになりました。ケンさん自身も ”BINGO LAB” というレーベルを設立して、4月にアルバムをリリースされましたね。まずはBINGO LABについて聞かせてください。現在東京→広島に移住して2年が経ちますよね。


溝渕ケンイチロウ(以下ケン): そうだね。まず東京だったら、自分でレーベルを作ってるミュージシャンって結構いるでしょ?例えば僕の近い仲間だと新井仁くん(RON RON CLOU、NORTHERN BRIGHT)とかも自分でやってるし。でも俺が住んでる広島県の福山市(東部)では、細かく見れば個人で音源を出してる人もいるんだけど、なんというか・・・あのさ、そもそも今って猫も杓子も「リリース」って言葉を使うじゃない?


ミム: はい

ケン: でも俺らの世代から言うと、「リリース」というのは全国を見据えたところに流す ーそれはアマゾンであっても店舗であっても全国流通するのが「リリース」だと思うんだ。そういう意味でいうリリースとなると、福山市は大きい町にもかかわらず、個人でCDをプレスしてワンマンライブしました、止まりなんだよね。だから便宜上名前を付けてるだけでレーベルとして機能してないし、実際問題レーベルに入ったことがある人がいないんだよね。

ミム: ああ、発信し続けるためのレーベルではない、ってことですね。

ケン: そう。スタイルとか、業務内容とか大筋を知らないままやってる自称・レーベルっていうか。だから俺はこれから頑張って、レーベルたるものはこういう外枠があってこういうことをやっていくんだよ、というのを作って行きたいと思ってるよ。今後はBINGO LABと名乗っているだけに、備後地方のミュージシャンも発掘して「リリース」したいなと思ってる。発掘といっても、この2年で備後の良いアーティストにはほぼ出会い切ってしまったけどね。それくらいPOPS人口も少ないんだ。ミムラスは何かレーベルのビジョンはある?

ミム: 私は、自分のシャープなセレクトでやるレーベル・オンラインショップをやって行きたいなと思っています。大きなマーケットにはないセレクトの。私はデザインも仕事としてやっていて、それも好きなんです。で、例えばデザイン関係の友人に面白い人がいて「広告デザインをやってるけど、本当は洋服を作りたい」と密かに服を作っている人がいる。そういう人を巻き込みながら、音楽だけじゃなくて、アーティストが作るもの全般で、面白いものをセレクトしていくつもりです。

【kwaz labelで販売している、個性的でカラフルなデザインタイツ”shari shari on the stage"】↓
ケン: 素晴らしいじゃない!じゃ、センスのいい人たちを巻き込んでカルチャー全般をつくっていくんだね!大きいマーケットの真似をする必要はないからね。してもできないし、自分でやる意味もなくなっちゃうしね。

ミム: 本当に。例えば私は音楽を聴くときに「私だけがわかるお気に入りを見出したい」という感覚があるんです(笑)だからkwazでは、皆に愛されるものかどうかというより、買った人が1対1で愛でたくなるようなちょっと面白いものを扱っていこうと考えています。

ケン: 俺はもう、次のアルバムを出すアイデアがあるよ。BINGOから自分の作品は年1回は出そうと思ってるんだ。あと1年は種を撒いて、(広島に来て)4年目から本気を出そうと思ってる(笑)

ミム: その本気とは!?


ケン: ゆくゆくは広島市と岡山市を飲み込んで「最近、この辺の音楽変わったなー」っていう状況を作りたいんだよね。福山市って昔からハードコアが強いんだ。西では北九州と福山がハードコア・シティで有名なの。そういうオラオラ/イケイケのバンドが昔から人気あって、俺らがやってるようなアコースティック音楽やPOPSは完全に少ないし、どうも俺らみたいな音楽やってる奴は軟弱に見られるわけよ。未だにだよ!?(笑)勢いのある音楽の方が偉いって文化がまだある(笑)そこでこういう音楽のジャンルを確立したいってのがあるよね。

ミム: それって、例えば街にどんなお店があるか ーセンスのいいカフェがあるかどうかや、どんなテイストの洋服屋さんがあるかなど、そういうことも関係していそうですね。

ケン: うん、カルチャー全体じゃないかな。俺が自分でレーベルをやるからにはスタイルを提示することも大事にしたいな。


ミム: 実は私がkwazを始めようと決める随分前に、ライブの打ち上げで鳥羽さん(ex.カーネーション)に「次のアルバム、どうやって出したらいいか悩んでて・・」と、話したことがありました。そしたら「自分でやったらいいんじゃない?」とさらりと言われて。

ケン: うんうん。

ミム: でも私はそのとき「いや、鳥羽さんは過去のメジャー時代の遺産がいっぱいあるからいいけどさ・・・泣」などと卑屈に思ってしまったんです(笑)「何のつてもない私が、自分でやることがどういうことか、わかってます?鳥羽さん!泣」みたいな(笑)

ケン: ミムラスは大丈夫だって。ずっと(音楽)やってんだから(笑)

ミム: (笑)そして時が経って、私のアルバム録音が完了したタイミングでBINGOを始めたケンさんに「自分でやろうか迷っているんです」とメールしたんですよね。

ケン: 「ヘンに大きく見せる必要などもうないよ。ミムラスは自分でできる人だよ!」って返事したよね!

ミム: はい。そもそもですが、実ははじめにデモを送ったP-Vineは音を評価して会議までしてくれたけど「やっぱりウチではPOPSは扱えません」と断られたんです。その後いくつかのレーベルに問い合わせしたけどどこも噛み合わず。で、ちょうどその頃、私は海外に友達が増えて。海外のミュージシャンの友人たちからは「面白いことは自分でやる時代よ!」と軒並み言われたんです。

ケン: うんうん

ミム: そこでハッと気付いたんです。私はまだ「どこかに助けてくれる人がいて、何かをしてくれるんじゃないか」と期待していたことに(笑)これはホント恥ずかしい、自分の弱い部分ですけど「どこかに楽でウマい話があるんじゃないか?」みたいな変な欲が心にあったわけです。

ケン: あははは(笑)

ミム: 遅ればせながらやっと「自分の楽しいと思うことを全部やって、そのクオリティを上げていこう!」とふつうに思うようになったんです。やること全てが誰かや何かにつながる可能性を持ってるし、大きいことにこだわらなくていいんですよね!ケンさんや皆が言っていた言葉がやっと腑に落ちました。

【10/25発売、ミムラスの2ndアルバム"SQUAME"のダイジェスト。千葉のスタジオで作り始めた】↓



ミム: 今回、アナログ盤も作ったので流通はdiskunionにお願いしました。好きなレコード店でもあります。実は契約する前に他にも流通会社を結構調べたんですが、今や堂々とウェブサイトに「請け負うにあたり、音楽の内容は一切チェックしません」と書いている会社もあって(つまり資金があれば出すこと自体は難しくない)。

ケン: なんか、ヤだね、それ。

ミム: そしてまた別の会社では「SNSのフォロワー、1,000人いくら」「SNSのいいね何件、ウン万円」とかいう宣伝支援メニューが出てきたり。私は自分が音楽を作る側でもあるので、そんなフェイクの人気を作ることが効果的な宣伝であると推奨されていることにすごく傷つきました。今や普通なんでしょうけど。(※いいね数を購入して人気があるように見せる宣伝手法)

ケン: もうメニュー化されてんだ(笑)そんなの実際にCD買う人には結びつかないよね。

ミム: うーん。。見た人の信頼を得られるんだとか!?

ケン: なめてるよな。それ、ミムラスはSNSとかで書いた方がいいよ!マジで。

ミム: 載せましょうか(笑)しかしです。デザイン業界でもそういうのがあって。例えばスマホのゲームアプリなどをリリースするときにも”バズらせる”ために、●ップルのランキング自体をお金で買うんだという話を、デザイナーの友達が嘆いていました。何をイイと信じるの?って。

ケン: ホント、お金で買っても、俺らにとっては虚無感しかないね。

ミム: そうですよね。私が見たそういう”バズらせメニュー”はどれもバカ高くて「加担してはいけない」と思いました。これをやる人がいると、メニューが残っちゃうわけで。

ケン: そういえば知り合いの女の子が、インスタのフォロワー1000件増やすのに2千円とかでヤフオクで買えるらしくて、自分を実験台として本当に買って、Facebookの日記に公開している子がいたんだ。それがすごい(皮肉な意味で)面白くてさ(笑)海外の謎のカード決済サイトに飛ぶらしいんだけど、思い切って買ったらしいよ!

ミム: わー!それはどんなフォロワーが来るんですか??

ケン: 海外の人なんだって。で、本当に朝起きたらフォロワーが1500人くらいに増えてて(笑)

ミム: ウケるー!!(笑)

ケン: それで「本当に増えてるじゃん!」と思ったら、みんな割と24H以内に離脱するんだって(笑)一気に300人くらい、ガっと減って。

ミム: (苦笑)どんなシステムなんですかね?

ケン: 例えば「#登山」なら「#登山」の同じハッシュタグの投稿者を自動フォローするようなシステムもあったりして。24H以内にフォローバックしなければ、自動フォロー解除するシステムがあるんだって。だから出入りがすごいの(笑)そこを商売にしてるんだろうな。

ミム: でもそういった無理ある事情が暴かれていけば、だんだん「いいね数」など、皆、どうでもよくなっていくでしょうけどね。自分の感覚を頼りにする面白さ、というか。

ケン: そうだよなぁ。嫌だよ、インスタ映えといいねのために生きてます♡みたいなのと一緒でね(笑)

後編へつづく)
後半は、東京→広島に拠点を移した溝渕ケンイチロウ氏の「地方に移住して活動するということ」。また在庫を持つリスクを取りながら、わざわざCDやアナログを作る意味とは?2人の率直なトークを掲載します。 




溝渕ケンイチロウ:(みぞぶちけんいちろう)ドラマー、シンガーソングライター。1971年4月15日生まれ。広島県出身、東京から広島に拠点を移し、現在は福山市在住。20代の中頃にセロファンのドラマーとしてポリドール(現ユニバーサル)、30代の頭にドリーミュージックで活躍。現在はインディペンデントなスタイ ルで日々を邁進。2010年2月に驚愕の9人ドラムバンド「DQS」を立ち上げ、2011年末からはソロ活動開始。登山好き、登山雑誌への寄稿など多方面で活躍中。2017年4月にリリースされた最新アルバム『foundation』が好評発売中。自主レーベル、BINGO LAB主催。 >> HPTwitter

ミムラス内藤彰子:(みむらすないとうあきこ)シンガーソングライター。1981年1月8日生まれ。群馬県出身、東京在住。5人編成のバンドを経て、2008年2人組ユニット・ミムラス名義で、Hicksville中森氏との共同プロデュースアルバム1枚発表。2015年8月に初のソロアルバムをBURGER INN RECORDSからリリース。2017年10月25日に2枚目のソロアルバム『SQUAME』、また10月14日にはCASSETTE STORE DAY 2017にて、カセットテープ作品2本リリース。オランダの文化に惹かれて、アルバムの中でもオランダ人シンガーを迎えたデュエットやオランダ語の楽曲を収録。自主レーベル、kwaz label主催。 >> HPTwitter

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